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店舗レポート
資金繰り講座
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13. 金融機関との融資交渉の考え方
 
 製菓・製パン専門店では、店舗の出店・改装・工場投資などの設備資金から、運転資金(経常、売上増加、賞与等)まで幅広い資金需要が発生し、その多くに対して銀行、信用金庫等が応えています。これらの金融機関との融資交渉でより有利な条件を引き出すためには、金融機関の貸出基準・姿勢を理解し、それに合うよう適切に対処することが重要です。
 
 金融機関の貸出審査姿勢の状況 
信用リスク管理体制の変化
1980年代後半からの地価の大幅な上昇は、担保中心の過剰な融資を常態化させバブル経済を作り上げましたが、バブルの崩壊・地価下落は多額の不良債権を生み出し、担保に偏重した融資姿勢の問題を浮き彫りにしました。その結果として、債務者本人と融資案件自体の評価が重視されるようになりつつあります。また、債務者を決算書の内容から分類する信用格付制度も導入され、信用リスクの程度に基づいた格付けによる与信設定、貸出審査が行われるようになりました。従来よく見られた、金融機関との親密度や取引年数が融資に与える影響は弱まり、貸出審査の判断基準はより客観的・定量的になってきており、大手銀行でも格付と貸出金利の連動基準の構想を発表するなど、この傾向はますます顕著になりつつあります。
 
貸出審査姿勢の変化
このように、中小企業の信用リスクに対する考え方はこの10年間余りで大きく変わり、貸出審査の姿勢も同様に変化してきました。担保評価は厳しくなり、事業の採算性や将来性の評価が重視されるようになったため、従来のような金融機関との付き合いの延長では考えられないケースが増えているようです。次のような例は多く見られます。「ここ数年間業績が低迷しているA社では、巻き返しのために新規出店を考えている。懇意にしている地元銀行は、以前から融資には二つ返事で応えてくれており、今回の新規出店も最初に相談したときは前向きな返事であった。担保があることからも、まず問題ないと思い後日正式に融資を申し込んだが、予想に反して交渉は難航し必要な資金が借りられそうにない」。このケースの問題は、業績低迷の長期化と不動産担保に頼った交渉にあります。不動産価格は一時期と比べて大幅に下落しているため、高い担保価値を望むことは困難です。また、事業用資産が担保提供される場合は、不動産の換金性が悪くなるために、担保としての本来の効果よりも「資産」を押さえるという心理的効果の方が期待されるようです。これらの要因から、仮に不動産を持っていても期待したほどの担保価値が得られない場合が多く、必然的に事業の採算性や将来性への評価が求められるようになってきます。
 
具体的な審査基準
金融機関の信用格付制度では、各金融機関で多少の違いはあるものの、決算書に基づく財務の点数を、規模、収益性、安全性の指標に基づいて算出し、“リスク無し”〜“重要管理が必要”のように10段階の格付を設定しています。この格付は実際の融資審査のベースとして、過去の融資・返済実績と併せて利用されています。また、金融監督庁や各財務局が金融機関を検査する際の手引書である「金融検査マニュアル」では、融資先となる中小・零細企業の債務者区分を明確にしていますが、より的確 な経営実態把握のために次のような具体的検証ポイントを挙げています。これらは、信用格付と併せて、金融機関の貸出先審査の際の重要な判断基準になっています。
 
 「経営改善計画の策定について」
  大企業のような精緻な経営改善計画がない場合であっても、これに代えて今後の資産売却予定や収支見込等を基に返済能力を確認する。
 「販売力について」
  商品や販売網が優れているなど販売基盤が強固で、今後、これらの強みを活かして業績の改善が予想できる場合には、こうした点を勘案する。
 「企業の実態的な財務内容について」
  代表者からの借入金があり、代表者が当該企業に対しその返済を要求する意思がない場合には、原則として、これらを当該企業の自己資本相当額として勘案する。なお、その際には、代表者の個人収支や資金繰りの状況等も確認する。
 「業種の特性について」
  新規設備資金や改築資金が多い業種については、現時点での表面的な収支や財務諸表だけでなく、赤字の要因、投資計画に沿った今後の収支見込、返済原資の推移等を勘案する。
 「企業が赤字で返済能力はないと認められる場合について」
  代表者への多額の役員報酬や家賃の支払いなどから赤字となっている場合には、赤字ということだけで債務者区分を行わず、赤字の要因や金融機関への返済状況、返済原資について確認する。
 「返済条件の変更を行っている場合について」
  工場建設など設備投資資金を融資する場合、短期資金(いわゆるつなぎ資金)で融資し、これを後に長期資金に切り替えるものなどは、通常の商慣習としての条件変更もあることから、条件変更を行ったことだけで債務者区分の判断を行わず、資金使途、変更理由を勘案する。
(出所)金融庁『金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編の主な内容』
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 製菓・製パン専門店としての対処状況
設備資金、運転資金などの借り入れ条件を改善する(与信枠拡大、低金利、長期返済)ためには、金融機関からの評価を上げなければなりません。そのためには、決算内容を良くすることは当然ながら、上記のような債務者区分や信用格付を理解し、これに沿うように事業を説明することも重要です。
例えば、
 
 決算書や試算表を定期的に提出するだけではなく、日頃から事業の積極的な情報開示に努める。
 具体的な事業計画を作成し、今後の売上、損益、資金繰り計画等を分かりやすく説明する。
 新商品や店舗のPRなどによって、商品力・販売力が優れていることを訴求する。
 
これらによって、融資を申請した際には資金使途が明確になり、また審査用資料提出にかかる時間も短縮できます。特に、事業計画書は企業全体の状況から返済計画までトータルに説明できるものとして求められるケースが多くなっていますので、出店・改装等で設備資金が必要な際にはぜひとも作成すべきです。
金融機関は大きな変化の途中にありますが、菓子・パン専門店としてもこの流れに対応し資金調達の備えを怠らないことが、販売機会の獲得と事業の円滑な運営にも繋がります。また、ファクタリング(企業間取引における債権保証など金融サービスの総称)などの新しい金融サービスに目を向けることも、資金調達の選択の幅を広げてリスクに備えるために必要です。
 
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