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8. リスクマネジメントの考え方(5)
 
 前回までは、「リスクとは何か=どういったリスクが経営に影響を与えるか」と、「リスクマネジメントの考え方」について、お話ししてきました。ただ、理屈はわかっても実際にどのように手当したら良いのか?また、どの事項に優先順位をおいたら良いのか?といった疑問が生まれてきます。
 そこで今回は、「実際に起きた事故=リスクの具体化」の例をもとに、検証していきたいと思います。実際にご自身の店舗に重ね合わせてお考えください。
 
 店舗自体を守ることを考える
■事故例
 厨房から出火、建物全焼  (損害7億7,026万円)
 店舗裏手の作業所から出火、倉庫も類焼 (損害9,076万円)
 漏電により出火、建物・什器を焼失 (損害7,004万円)
 隣の店から出火、建物を焼失 (損害6,032万7千円)
 閉店後、たばこの不始末で出火、建物を焼失 (損害5,254万円)
 下の店舗から出火、店舗を煙損 (損害4,208万円)
 不審火で建物を焼失 (損害3,769万6千円)
 
■傾向
上記を見ていただいておわかりの通り、自店から出火するケースと、他店・他人から出火するケースがあります。

他店・他人から出火した場合、以前ご紹介しました通り、「失火責任法」により損害賠償請求ができないケースが多く、「自分の店は自分で守る」必要があります。

出火原因の統計では、
 調理器具 53.0%    電気故障等 15.2%  
 放火 13.6%    たばこ 7.9%  
 その他 10.3%      
(※東京都のレストラン・飲食店等の出火原因別割合より)
となっており、火の元の取扱いを厳格化するだけでは、火災の半分しか予防できないことを示しています。

また、ここには例示しておりませんが、実際の「物」に対する損害とは別に、時間軸で考えるとその後の復旧までの休業損失の方が大きくなる傾向にあります。実際の損害は小さくても、復旧までに時間がかかれば経営に大きな打撃を与える可能性があります。
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 店舗運営上、他人に損害を与えてしまった時のことを考える
■事故例
 配管接続部のゆるみによって漏水し、階下店舗を汚損 (損害456万7万円)
 空調機の配水管から漏水し、階下店舗天井を汚損 (損害240万円)
 店舗玄関上部のモルタル壁落下、他店看板や車両に損害 (損害238万8千円)
 店舗の旗が破れて、通行中のバイクに接触、転倒し運転手負傷 (損害161万9千円)
 従業員がお茶をこぼし、顧客に火傷を負わせた (損害100万円)
 従業員が床に水をこぼし、顧客が滑って転倒 (損害92万5千円)
 従業員がビルの自動消火装置を誤作動させ、近隣店舗汚損 (損害80万円)
 店舗の屋根に積もった雪が落下して駐車中の車両が破損 (損害74万5千円)
 シュークリームで食中毒が発生、被害者対応と商品回収費用発生 (損害462万5千円)
 パンに異物混入、食した顧客の前歯が欠け、商品回収対応発生 (損害629万8千円)
 
■傾向
上記にはやはり2つの類別があります。店そのもの・商品に起因する賠償責任と、従業員(人)に起因する賠償責任です。

店そのものについては、店舗の施工担当者や消防署などの意見を聞きながら回避策を考える必要があります。
商品については、衛生管理・賞味期限の設定等、釈迦に説法ですが細かいことの積み重ねで事故は防げます。
従業員(人)については、従業員教育の中に、「人はミスをするもの」という前提に立って、ただ厳しく指導するだけでなく、オーナーも一緒に考える姿勢が大切と言えます。

上記のように、大きく分けて、店舗自体を守ることへの備えと、第三者への賠償に備えることをまず考えてみてください。1つくらいはご自身のお店に当てはまることがあると思います。それでも100%の事故は防げません。すべての可能性を洗い出して、常にすべてのリスクに対応しておくことは不可能だからです。

必要以上に危機感を感じるのではなく、リスクマネジメントの考えに基づいて、
 リスクを洗い出し、回避方法を考える
 それでも起こってしまう事故時にどう対応するかを考えておく
という2点が肝要です。しかも何か起こってからではなく、平常時に考えておくこと、そしてそれを従業員に徹底しておくことが大切です。
 
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