製菓・製パン専門店の開業支援、出店、改装など「店づくり」をサポートします。 
製菓・製パン専門店の皆様へ キューブ プランニング株式会社
店装net ご相談・お問い合わせはこちらから
0120-172-037(受付時間/平日9:00〜18:00) お問い合わせお問い合わせ
キューブプランニング
店舗レポート
経営支援情報
一覧へ戻る
<<前へ 次へ>>
9. リスクマネジメントの考え方(6)
 
 前回までは、「リスク」についてスポットライトを当てて、いろいろな視点から検討してきました。
 しかし、経営にかかわる「リスク」と一口に言っても、きわめて多岐にわたり、対応に関して優先順位を決めるのが精一杯で、実際に「すべてのリスク」に対し「完全な対応」はできないこともご理解頂けたと思います。 そこで今回は、実際に不測の事態が発生した際にいやでも発生する広報活動、いわゆる「クライシスコミュニケーション」について考えてみたいと思います。
 
 クライシスコミュニケーションとはなにか?
まず、いままでお話ししてきた「リスク」と「クライシス」の関係について考えてみます。ここでは主に製品について絞って例示します。
 「リスク」は商品の生産とその消費にあたってどんな危険があるかであり、またそれがあるとすればその性質・影響・許容度について検討するのがリスクマネジメントです。
 その「リスク」が実際に発生して、いざ対応しなければならない状況が「クライシス」であり、その対応そのものが「クライシスコミュニケーション」と言われる折衝・広報活動です。
 
 危機発生時に起こる共通の状況?
リスクが社内外の天災・人災に起因してくる以上、これを整理することは非常に困難であることは繰り返し述べてきましたが、実際にリスクにヒットし、危機が発生した時に起こる状況(結果)には共通点があると言われています。
 不意に起こる
 情報収集が困難である(もしくはほとんどできない)
 事態が次々と展開する
 社内外の状況がコントロールできない
 社外、特にマスコミからの詮索、プレッシャーが強い
 守りに入ろうとする精神状態になる
 短絡的な安易な思考に陥りがちである
企業や店舗は通常では、組織的な指揮系統の下での判断を行っていますが、いったん危機に直面すると統制は少なからず乱れます。乏しい情報やプレッシャー、時間的制約からパニックに陥り、また同時に精神的影響から目先のことの解決、目先の利益ばかりに注視してしまい、本質から遠ざかる危険性があります。
▲ページの先頭へ
 アメリカでの事例紹介
ここからは対応方法の視点を考えたいのですが、文書にすると、漠然としたものになってしまうため、実際にアメリカで起きた「発泡性飲料水にベンゼンが混入した」という事故を例に、その対応がどこで誤ったか、逆にどうしたらよかったかを考えてみてください。
 
(1) 発端
ベンゼン混入は水質調査機関の指摘で北米向けの商品の中から発覚した。メーカーはベンゼン混入は北米向けの一部のみと判断しリコールをかけた。しかし2日後、米国向け全製品に混入があることがわかり、再リコール。
3日後欧州向け製品からも検出。3回目の発表で全世界の商品を回収することになった。その3回の記者会見は曖昧で矛盾に満ちており紛糾し、問題をこじらせるばかりで、原因を知りたがる記者に不信感を与え、「他にもなにかある」「重要な情報を隠蔽している」という噂に基づく記事までが出た。
 
(2) 外部機関の導入
繰り返しの発表訂正、事態の巨大化は、経営陣に自社での対応の限界を感じさせ、外部機関にクライシスコミュニケーションを依頼。
しかし数日後にスタッフが到着した時点で、経営陣は「どうしてベンゼンが混入したか?」に頭をかかえるばかりで、原因究明と今後の措置について検討されていなかった。
 
(3) 事実関係の分析
外部機関はまず、実際になにが起きたのかを分析することを決めた。その結果、公開していない事実が明るみになる。実際は天然のわき水に別途抽出した天然炭酸ガスを瓶詰めの段階で添加して発泡させていたのである。
この行程で、炭酸ガスの不純物を除去するために濾過しており、この濾過装置の技術的な欠陥によりベンゼンが混入したことがわかった。
 
(4) 結果発表と方向性
濾過装置を含むすべての品質管理措置を見直し、対応完了を確認した上で、全世界同時にマスコミ発表。その際に第三者のスポークスマン(水質の専門家)を同席させ、質問に対して技術的な回答をする。同時に世界9カ国に対応窓口を設置し、照会受を一本化、対応にぶれのないようにした。主要市場での世論のモニタリングを続行し、戦略の修正に使う。リコールと再販売を完全に切り離し、再販売が単独のマーケティングイベントになるように計画を立てる。
 
(5) その後の対応
主要市場での世論のモニタリングの結果、かつての愛飲者のほとんどが、メーカーは責任ある対応をとった、再販売されれば購入するとの結果であったことから、再販売キャンペーンの立案を急いだ。
 再販売のニュースリリース
 主要市場街頭での無料サンプル配布を行い、市場復帰をアピール
 テレビのスポット広告の分析を行い、ふさわしい媒体でふさわしい量の広告を展開
という形で市場復帰を果たした。
▲ページの先頭へ
 事例から言えること
例として、非常に大きい規模の企業を選定したのは、事態のエスカレートのスピードと質をはっきりお見せしたかったからです。その展開事態は、みなさんの会社・お店に置き換えるとどれほどかを考える材料にしてください。実際は、濾過装置のメーカーのミスにもかかわらず、危機発生時の対応一つで、自社の経営の危機を迎えたわけです。実際に外部機関導入前の社内調査は、1人の社員の情報に基づいて作成され専門家の分析は行われなかったのです。的確な原因究明をせずに、軽はずみな断定的発言をしてしまったことが事態を大きくしてしまった例です。逆に、時には短期的犠牲が、結果的に長期的な利益に繋がることもあるとも言えます。
 
事例から多くの対応方法の視点について学べますが、平常時、実際に準備するとなると話は別です。その手法については次回ご紹介します。
 
<<前へ 次へ>>
ページの先頭へ
icon
クリックして証明書の内容をご確認ください。
icon
icon
icon
icon
icon
icon