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17. リスクマネジメントの考え方(12)
 
 今回は前回に引き続き、2005年4月1日より完全施行された「個人情報保護法」の内容について考えます。
 
 過去の個人情報漏洩事件とその対応
業態 発覚時期 流出件数 発覚のきっかけ 流出時期、原因など 顧客対応
通販業者 2004年3月 66万件 外部からデータのコピーが持ち込まれた データの内容から情報流出時期は1998年7〜9月と断定。流出原因など不明。 1ヶ月半の営業自粛(100億円減収予想)
通信事業者 2004年2月 660万件 恐喝事件(顧客情報買い取りを要求) 流出ルートは以下の2通り。
・同社元社員が退職後も有効になっていたID、パスワードを使用して社外のコンピュータから情報を抜き出した。(顧客情報へのアクセス方法は元業務委託先社員から入手した)
・同社のサポートセンターに勤務していた派遣社員が2002年5月〜2003年6月にかけて情報を持ち出した。
全会員(670万人)に見舞として一人500円の金券送付
鉄道 2003年12月 13万2千件 一部顧客に不審なダイレクトメール 情報流出時期は2003年3月以前。流出原因など不明。 全会員(13万人)に5000円レジャー施設無料券
流通 2003年6月 56万件 一部顧客に不審なダイレクトメール 情報流出時期は2002年8月。流出原因など不明。 全会員(115万人)に 500円商品券
旅行会社 2004年6月 62万件 一部顧客に不審なダイレクトメール 社内のパソコンからデータベースに接続し、特定の条件で顧客数を絞り込んで持ち出された可能性が高い。 -
銀行 2004年2月 12万3千件 運送受託業者による紛失 搬送受託業者が搬送途中で紛失。事故発生から認識まで6日を要した。監督官庁から顧客情報管理の改善命令。 -
信販会社 2004年8月 48万件 一部顧客に不審な ダイレクトメール 7月に34人分が社外人物によりもちだされたことが発覚。最大流出規模は約48万件、うち88件1350万円の不正使用を確認。 今後対象となる会員に500円のギフトカード
自動車製造業者 2004年8月 4万件 業務委託先の派遣社員から 同社が手がけるサービスの顧客情報が、業務委託先の派遣社員の自宅にパソコンで一時持ち出された。 -
官公庁 2004年9月 9千件 入力業務委託先の業者から 一部個人データが、入力業務委託先の業者からシステム開発業者に流出した。 -
銀行 2004年5月 41件 - 職員が帰宅途中に電車で顧客情報の入った私用カバンを紛失。(氏名、住所、電話番号預金残高)なお、顧客情報を店舗外に持ち出す許可は得ていたとのこと。 該当顧客に個別に説明謝罪・ニュースリリース (HPにも掲載)
銀行 2004年9月 4万件 - 4万口座分の顧客情報を収めた磁気テープが一時所在不明に。テープは、後日誰かがロッカー室の床に置いて行った。 -
信用金庫 2004年9月 1651件 - 顧客の生年月日電話番号、預金残高が載った名簿が車から盗まれ、うち6人の住民票が本人の知らぬ間に市外に転出させられていた。 -
自治体(市) 1995年5月 22万件 - 住民基本台帳の住民データが名簿業者に流出。委託業者が流出経路。 原告3人に対し、1人1万5000円の損害賠償金判決
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 ポイントと対応の視点
【1】損害賠償責任には言及していない
確かに5,000件もの個人情報をお持ちでなくても、決してその取扱いが適当でよいというものではありません。前述から、個人情報を漏洩したことによる被害者への損害賠償は全ての事業者に適用されるのです。会員情報やDM用宛名ラベル等、取扱いに注意すべきものはお店の中にたくさんあるはずです。
【2】損害賠償額は巨額になる可能性がある
訴訟になった自治体(市)のケースでは、損害賠償金は原告一人に対して15,000円を認定しています。ということは、仮に当時の市民全員が訴訟を起こしていれば約28億円もの賠償金になります。一人500円の見舞金を支払ったケースでは、全会員への支払額、郵送費を含め、実際に約40億円の支出となりました。このように巨額の損害賠償請求を受ける可能性が現実にあるのです。
【3】個人情報漏洩防止への対策
この対策には、店舗の改装や盗難対策よりも「社内の体制」づくりがもっとも大切になります。大規模な個人情報漏洩のほとんどのケースで従業員が関係しています。
また関係していなくても、従業員のモラルダウンが情報管理の不備を生み、結果漏洩につながるケースがほとんどです。このことからもシステム面だけでなく、人の面でも対策が必要ということは明白です。
【4】初期対応やマスコミュニケーションが大切
実際に個人情報漏洩が発生した場合、その初期対応・中途でのマスコミ対応が、事件の印象を大きく変え、企業や店舗の命運を左右しているといえます。情報の所有者があくまで「個人」であることが、通常の賠償責任と性格の違う点であり、「理屈より感情」で大きな事件になることを認識しておく必要があります。
 
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